最新の光触媒で、地球の未来を考える

最新の光触媒で、地球の未来を考える

最新の光触媒で、地球の未来を考える

日本の科学者が発見した、日本が誇る技術 「光触媒」って … なんだろう

光触媒とは、光をエネルギーとして物質に科学変化を起こさせる媒体の事です。 自然界では、植物の葉緑素による光合成が、光触媒です。 葉緑素は、光をエネルギーとして 化学変化を起こさせ、二酸化炭素と水分から、デンプンと酸素を作り出します。 光触媒反応を起こす物質としてポピュラーなのが酸化チタン(Tio2)です。 酸化チタン自体は、光触媒反応を作り出しても減る事がありません。 表面に光エネルギーを 受けると強力な酸化還元反応を起こし、接触する有機物、雑菌などを炭素と水分に分解し 無害化してしまいます。

光触媒反応を起こす素材としての酸化チタンは、白色の顔料や食品添加物として使われる 極めて安定した物質です。紫外線を吸収する事から、化粧品などに使われています。光触媒の原理は、酸化チタンの表面に光エネルギーが当たると、空気中の水分と酸素と反応し、OHラジカルなど の活性酸素を発生させます。 このOHジカルは強力な酸化分解力を持ち、シックハウスの原因物質であるVOCなどの 有機物や雑菌、インフルエンザウイルスなどを炭素と水分に分解し、 無害化します。

OHラジカルは消毒・殺菌などに使われる塩素・次亜塩素酸などより、はるかに強い力で環境浄化を行います。

酸化チタンは、安全で安定した物質です。歯磨き粉・化粧品・ホワイトチョコレートなどに使用されています。

可視光応答型光触媒の登場

酸化チタンだけでは触媒反応が起きない?

酸化チタンその物が光触媒反応を起こすには紫外線が必要でした。紫外線の入らないUVカットガラスの室内や窓の無い居室での光触媒反応は絶望的でした。

そこで、可視光領域(人間の目に見える光の波長)で光触媒反応がおこる数々の改良が加えられて来ました。

本格的可視光応答型光触媒の登場

酸化チタンの分子構造に「何か」を加える事により、可視光領域での触媒反応を起こす研究が続きました。 窒素、銀、プラチナなどです。それでも充分な可視光領域に届く事が出来ませんでした。そこに登場したのが、(独)産業技術総合研究所の「鉄ドープ酸化チタン」です。 可視光領域のちょうど中間にとなる570ナノメートルで反応し、従来品に比べ、蛍光灯下で5.9>倍に効果が向上しました。

酸化チタンの弱点を克服

光触媒は、有機物を分解するため、定着させる機材そのものを分解してしまう欠点がありました。屋外のトタンに手で触ると「白い粉」が付きますが、これがチョーキングと言ってトタンの塗料が 酸化分解された結果です。そこで、(独)産業技術総合研究所は、鉄型酸化チタンにアパタイト(カルシウムを被覆させる事)に成功し、コーティング面に直接酸化チタンが触れない事で、定着面の劣化を防ぐ事が出来るようになりました。

日本の特許
(独)産業技術研究所は、「鉄ドープ」および「アパタイト被覆」酸化チタンの開発で特許を取得しました。
「アパタイト被覆・可視光応答酸化チタン」特許第3275032号

最新型光触媒の能力

酸化分解反応

壁などにコーティングされた光触媒に光が当たると、触媒反応によってその表面に活性酸素が発生し、 浮遊する臭いの元やウイルス、有機物質などを次々に分解していきます。 これまでの光触媒では、紫外線の入る窓際でしか効果が期待出来ませんでしたが、最新型光触媒は、 室内の蛍光灯などの光エネルギーで、効果を発揮します。

  • 防汚 セルフクリーニング 光触媒面では、汚れの下に雨水が入り込み、汚れを洗い流します。
  • 大気浄化 NOx(窒素酸化物)除去 光触媒の分解反応により、NOxは硝酸イオンとなり、無害化されます。
  • 防曇(防滴)曇り止め 触媒面では、超親水性により、水滴にならず、視界を妨げません。

光触媒のもう一つの機能

親水反応(水になじむ)

光触媒を建物の外壁やガラスにコーティングした場合、酸化チタンは、水との相性が良いため、 壁面と汚れの間に水を入り込ませ、汚れを浮き上がらせます。 雨天時に、汚れを洗い流す効果があります。 (セルフクリーニング効果)


外装での光触媒の機能

光触媒コーティングされた外装に、窒素酸化物(NOx)などが接触すると、酸化分解作用により無害化され、 雨水などで流されます。 光化学スモッグの原因となる大気汚染物質を分解無害化すると同時に、防汚効果を発揮します。

親水反応の用途

この親水性を活用する事により、光触媒で、汚れない建物や看板が出来ます。 大規模建物では、外壁の洗浄コストが1/8に削減出来たという事例も出て来ました。

超親水性
酸化チタンに光をあてると、その表面が超親水性になり、水滴は水の膜になる。

優れた「光触媒の製品」の選び方

光触媒の改良が進み、可視光範囲内での効果が得られるようになり、その活躍の場は、 屋外(外壁など)から屋内へと急激に広まってきました。車業界でも、車内の臭い対策などで「光触媒製品」が増えてきました。車内や屋内で利用されるにあたり、その目的も、超親水性によるセルフクリーニングだけにとどまらず、悪臭対策や感染症の予防など、多種多様な要望に応える場が増えてきました。 

車内・屋内で利用するからには抑えておかなければならない条件として ……

いかに優れた光触媒製品であっても、しっかりとコーティングし、定着、持続しなければ効果は得られません。また、屋内には太陽の光が届かない場所も存在しますし、蛍光灯、現在ではLEDライトなど、光の波長が弱いお部屋も増えています。そのような条件で作用し、更には、現在の屋内では、パソコンなどの情報機器など、精密機器も多く設置されている事が殆どと言えます。このような機器にも危害を加えない製品でなければトラブルになってしまいます。

屋内で光触媒をコーティングし、効果を得るためには、この3つの条件を満たす必要があります。

光触媒の用途

光触媒の効果的に有機物を分解無害化する作用を利用することによって、

  • 水質浄化・大気浄化作用
  • 抗ウイルス・抗菌作用(インフルエンザ、コロナ対策、その他感染症対策、食中毒、パンデミック対策)
  • 消臭作用(煙草臭対策、トイレ臭対策、シックハウス対策、体臭・動物臭対策)
  • 防汚作用(外壁パネル、ショーウインドウガラス、テント、看板) 

など幅広い用途に 応用できます。これまでの光触媒は、紫外線の届かない屋内で効果が出ない欠点がありましたが、 新しい光触媒は紫外線を含まない蛍光灯の光を照射するだけで、感染性ウイルスを大幅に不活化させるまでに進歩し、今や病院や空港などでも、優れた抗菌・脱臭作用が確認されています。

最新型光触媒「ハンノウコート」は、室内の光で触媒反応を起こし、 室内の課題まで解決できるようになりました。


このように現在では幅広い用途に応用できるようになった酸化チタン光触媒技術は、1972年に日本の科学者により発見され、長い道のりを歩んできました。今 酸化チタン光触媒技術は、日本のみならず中国・東南アジアなどの優秀な研究者、その分野の科学者たちにより、加速度的な発展を遂げています。きれいな空気、きれいな水をあたりまえに提供できる環境浄化技術として、酸化チタン光触媒の基礎研究・応用研究がさらに進展するように願いたいものです。


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